2025/11/03

OPPOが大学生と共創、AIで子どもの落書きを動かすアプリが大賞受賞

大学生の発想がOPPOのAI製品開発に結びつくまで

山东大学の『绘语梦园』チームは、子どもが紙に向かって独り言を言いながら描く姿を目にし、そこに新たな価値があると感じた。彼らは「子どもの落書きをそのまま動かす」ことを目標に、AIを活用したインタラクティブアプリを開発した。このアプリでは、手描きの魚が画面上で泳ぎ、ドラえもんのようなキャラクターをタップするとAIが性格に合わせた会話を生成する。

コンテストでの評価と受賞

このプロジェクトは第4回中国高校計算機大赛・智能交互创新赛に出場し、470校以上、3,600チーム以上、2,000件以上の作品が集まる中で、最優秀賞と最優秀商業潜在力賞を受賞した。OPPOは同大会を4年連続で主催し、大学生の創造的なアイデアを実装可能な形に導く場として位置付けている。

OPPOの産学連携の姿勢

OPPOは製品マネージャーや技術エキスパートを派遣し、参加チームに対して講座や技術指導を行う。2025年に開催された本大会のテーマは「モバイル端末向けAIエージェントのイノベーション」へと進化し、AIが実際にどのシーンで価値を創出できるかを問う形となった。

OPPO産学研担当ディレクターの秦征は、産学連携は「短期的な技術課題の解決」「3〜5年先の技術ロードマップの共同策定」「将来的な破壊的技術の探索」の3つの視点で評価すると語っている。利益追求だけでなく、技術の未来を純粋に考えるパートナーシップが重要だという考え方だ。

実装支援と人材育成

大会期間中、OPPOは最新フラッグシップ端末とAIエージェント開発プラットフォームを提供し、開発ハードルを下げた。優秀チームにはインターンシップや新卒採用での優先枠が用意され、実際の製品機能へと結びつく可能性が高まっている。

学生プロジェクト『轻绘 AI』の具体例

浙江大学のチームは、従来のAI画像生成ツールが長文プロンプトに依存しがちである点を改善するため、スライダーやチェックボックスといったUIコンポーネントでAIに指示を出すシステムを構築した。これにより、光の強さや構図といった細部を直感的に調整でき、商品ポスター作成と人物合成で異なる設定が自動的に適用される。

OPPOの他の産学連携事例

2018年以降、OPPOは浙江大学、上海交通大学、清華大学などと共同実験室を設置し、実用的な技術開発に取り組んでいる。例として、浙江大学と共同で開発したAndroid全チェーンの色彩管理システムや、視覚疲労を予測するAIモデル(予測精度85%以上)などがある。これらはユーザーが気付かないうちに画面の色温度を調整したり、休憩を促したりする機能としてスマートフォンに組み込まれている。

また、華中科技大学と協力し、ファイルの断片化を予測して事前に整理するストレージ最適化技術も実装され、長期間にわたって快適な使用感を提供している。

長期的な投資とベルト計画

OPPOは2018年に「ベルト計画」と称し、2億元(約20億円)規模のイノベーション基金を設立し、世界中の若手研究者への支援を行っている。現在、100校以上の大学とAI、映像、ヘルスケアなど多領域で協業しており、即効性のあるリターンよりも持続的なイノベーションを重視している。

AIが日常に溶け込む未来へ

OPPOのAIアシスタント「小布」は2024年に月間アクティブユーザーが1.7億を超え、国内で最も利用されているスマートフォンAIアシスタントとなった。AI消除機能や一鍵メモ、画面上のあらゆる情報に対して質問できる「AI一键问屏」など、ユーザーが意識せずにAIの恩恵を受けられる体験を提供している。

2024年の受賞作品『愈伴精灵』は、青少年のメンタルヘルス支援を目的としたエージェントで、山東省精神衛生センターに実装され、実際の臨床現場で活用されている。大学生が現場の課題を自ら体感し、AIで解決策を提案した事例は、産学連携の成功例として注目されている。

まとめ:技術と人の共生を目指すOPPOの姿勢

OPPOは「AIは人のためにあるべき」という理念のもと、大学生の純粋な発想と企業の技術力を結びつけ、モバイル端末上でのAI体験を深化させている。産学連携を通じて得られる技術課題の解決や人材発掘は、同社が長期的に市場で優位性を保つための基盤となっている。

今後もOPPOは、AIエージェントを中心としたエコシステムを拡充し、ユーザーがAIの存在を意識せずに自然に利用できる「見えない技術」の実装を目指すだろう。

出典: https://www.ifanr.com/1643045