10月の販売実績が過去最高を更新
中国の大手自動車メーカー、吉利自動車(Geely Automobile)は、2023年10月に販売台数307,133台を記録し、単月販売台数の新記録を樹立した。これは同社が過去8か月連続で月間・年間ともに増加を続けていることを示すもので、月間成長率は12%、前年同月比は35%に達した。
新エネルギー車(NEV)の伸びが牽引
同月の新エネルギー車(電動車・ハイブリッド車を含む)販売台数は177,882台で、過去最高を更新した。前年同月比で64%増、月間で8%増と、販売規模と成長率の両面で大きく伸びている。新エネルギー車の全体販売に占める比率は58%で、吉利の販売構成において電動化が中心的な位置を占めていることが分かる。
ブランド別の販売状況
吉利は複数のブランドを展開しており、各ブランドの10月販売台数は以下のとおりである。
吉利ブランド
吉利ブランド単体の販売台数は245,497台で、全体の約80%を占める。
中国星(ジアオシン)ブランド
中国星ブランドは118,021台を販売し、前年同月比で10%増、月間で17%増と堅調に伸びている。
銀河(ギャラクシー)ブランド
銀河ブランドは127,476台を販売し、前年同月比で101%増、月間で5%増と、販売台数が倍増した。さらに、銀河は年間販売台数100万台という目標を予想を上回って早期に達成し、中国国内で最も早く年販100万台を突破した新エネルギー車ブランドとなった。
領克(Lynk & Co)ブランド
領克は40,213台を販売し、前年同月比で29%増、月間で22%増と大幅に伸びた。新エネルギー車の販売比率は72%で、同ブランドの電動化戦略が顕著に表れている。
極氪(Zeekr)ブランド
極氪は21,423台を販売し、月間で17%増加した。極氪は高性能電動車を中心に展開しており、プレミアム市場でのシェア拡大を狙っている。
輸出市場の動向
10月の海外向け輸出台数は41,568台で、前年同月比23%増、月間で2%増となった。輸出先は主に東南アジアや中東地域で、吉利は現地生産拠点の拡充や現地向けモデルの投入を進めている。
中国自動車市場全体との比較
中国政府は近年、電動車への補助金や充電インフラ整備を強化しており、2023年全体の新エネルギー車販売台数は約650万台に達した。吉利の新エネルギー車販売比率58%は、国内平均の約45%を上回っており、同社の電動化戦略が市場全体に先行していることを示す。
今後の展望と課題
吉利は2024年度に年間販売台数3,000,000台を目標として掲げており、今年下半期には5モデルの新車を投入する計画だ。特に新エネルギー車のラインナップ強化と、海外市場へのさらなる進出が重要課題となる。
一方で、国内の競合他社(例:比亜迪、蔚来)との価格競争や、原材料価格の上昇、充電インフラの地域格差といったリスクも指摘されている。吉利は「価格競争だけでなく、他社の長所を学び、協調的な市場形成を目指す」との姿勢を示しており、今後の戦略が注目される。
総じて、吉利は多ブランド戦略と電動化への早期投資により、2023年10月において顕著な販売実績を残した。今後の新モデル投入と海外展開が、同社の成長持続性を左右するだろう。