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2025/11/05

小鹏科技、第二世代VLA大模型とロボタクシー・人形ロボ・空飛ぶ車を同時発表

小鹏テクノロジーデーで示された「物理AI世界」戦略

2025年に開催された小鹏科技日(Xpeng Tech Day)では、同社が掲げる「物理 AI 世界」戦略の全容が明らかにされた。新エネルギー自動車メーカーとしての基盤に加え、底層モデル・自社開発チップ・多形態端末の協調進化により、地上・低空・ロボットという三つの領域を横断する汎用インテリジェンスエコシステムの構築を目指す姿勢が示された。

第二世代VLA大モデルの概要と性能

今回の発表の中心は、第二世代「視覚‑言語‑行動(VLA)」大モデルである。従来の業界標準である「視覚情報→自然言語変換→推論」というシリアル処理を廃し、視覚入力から直接車両制御指令へとエンドツーエンドでマッピングする構造を採用した。これにより、情報変換時の意味損失とシステム遅延が大幅に削減された。

小鹏は「チップ‑オペレータ‑モデル」のフルスタック最適化により、算力2250 TOPS(テラオペレーション/秒)を備えるUltra版車両に、数十億規模のパラメータを持つVLAモデルを搭載した。実走テストでは、ステアリング角度やアクセル・ブレーキ指令をリアルタイムで出力するだけでなく、工事現場のコーンや歩行者の意図、周辺車両の数秒先の軌道予測までを高精度に解析できた。

このモデルを基にした新機能「小路 NGP」は、車線標示や交通標識、GPS信号が欠如した非構造化道路でも、システムが接管する走行距離を平均13倍に伸ばす実績を示した。また、ナビゲーション事前設定が不要な自動支援運転モード「Super LCC+」は、未知環境での全体経路計画と局所回避を自律的に実行し、汎化能力を実証した。

小鹏は2025年12月にこのモデルの車載パイロットユーザー試験を開始し、2026年第一四半期にUltra版車両へ本格的にプッシュする計画だ。さらに、同モデルと自社開発の「チューリング AI」チップは、フォルクスワーゲン(Volkswagen)と戦略的提携を結び、同社への技術供与が決定した。

ロボタクシー(Robotaxi)とL4レベルの商用車

自動運転の次段階として、2026年に3種のRobotaxi車種を正式に投入し、試験運転を開始する方針が示された。各車両はチューリング AIチップを4基搭載し、総算力は3000 TOPSに達し、現時点で世界最高水準の車載AI性能を誇る。

小鹏はレーザーレーダーや高精度マップに依存しない「純粋視覚」アプローチを堅持。高精度マップは更新コストが高く、カバー範囲が限定的である点、レーザーレーダーはハードウェア性能に制約がある点から、カメラのみでの認識と予測を追求した。

安全性確保のため、全Robotaxiは感知カメラ・計算ユニット・ステアリング・ブレーキ執行系統を二重冗長化したハードウェア構成を採用。単一故障時でもミリ秒単位で切り替えが可能で、完全無人運転の安全基準を満たす。

車内のサンバイザーには柔軟ディスプレイを組み込み、「待機中」「通行してください」などの視覚情報を歩行者に提示できるようにした。将来的には指向性車外音声と組み合わせ、視覚+聴覚の多次元インターフェースで人車間の信頼性を高める計画だ。

さらに、一般消費者向けに「Robo」L4版も提供。ハードウェア構成・安全冗長性はRobotaxiと同一で、日常モードと高度運転モードを切り替えて利用できる。実質的に安全監視員付きのRobotaxiとして、個人ユーザーにも高度自動運転体験を提供する。

エコシステム拡充の一環として、Robotaxi向けSDKをオープンソース化。中国最大手の地図サービス「高德(Gaode)」が初のグローバルパートナーとして参画し、地図・配車・ユーザーサービスを統合した運用プラットフォームを共同で構築する方針だ。

最も人間らしいヒューマノイドロボット「IRON」

具現化インテリジェンス領域では、全新世代のヒューマノイドロボット「IRON」が披露された。内部から生まれるというバイオミミック設計コンセプトに基づき、類人脊椎構造と全身を覆う柔軟皮膚、身長・体格のカスタマイズが可能なモジュラー設計を採用した。

全身は82自由度を有し、業界平均を大きく上回る可動域で「猫歩き」や階段昇降、腰を曲げての物体取得といった高度な擬人動作を実現。手部は業界最小サイズのハーモニック減速関節を採用し、1:1スケールで22自由度を持つ。卵のつかみや瓶蓋の回し、精密工具の操作まで安定して行える。

搭載チップは3基のチューリング AIで、総算力は2250 TOPS。先述のVLA大モデルが初めてロボット上で稼働し、視覚情報から直接行動指令へと変換する能力を実証した。

商業利用としては、案内・販売支援・巡回検査などのシーンを想定。宝鋼集団(Baosteel)は産業検査などの複雑タスクでの共同開発パートナーとして参画している。

小鹏は2026年末までに高機能ヒューマノイドロボットの量産体制を整える計画で、ロボット部門の従業員はすでに1000名を超えている。

低空輸送と「陸上空母」:空飛ぶ車の量産化へ

低空輸送分野では、2本の製品ラインを同時に推進する姿勢を示した。個人向けの「陸上空母(Land Carrier)」と、6人乗りの全傾転混電飛行車「A868」だ。

「A868」は全傾転ロータ構造を採用し、小鹏自動車の「鯤鵬(Kunpeng)」スーパーエクステンドアーキテクチャをベースに、航空級混電コアを自社開発。航続距離は500km、最高速度は360km/hを目指す。高級ビジネスや都市間通勤を想定した6座席設計で、現在は風洞試験と系留飛行検証を複数回実施し、自由飛行段階に入っている。

一方「陸上空母」は量産直前の段階にあり、世界的な受注は7000台を突破。従来の飛行機操作ロジックを覆す、スマート飛行キャビンと世界初の「四軸合一」単一スティック操作システムを搭載。ユーザーは1本のスティックで上下・前後・左右・ヨーを制御でき、学習コストを大幅に低減した。

量産体制として、同社の飛行車工場は2025年11月3日に試作機を下ろし、初の自動車ライン方式を取り入れた航空品質管理と自動車生産効率を融合させた。初期年産能力は5,000機、最終的には10,000機を目指す。フル稼働時は30分ごとに1機のペースで生産ラインから出荷できる。

総括:AI基盤で三位一体のモビリティを加速

小鹏は今回のテクノロジーデーで、第二世代VLA大モデルをインテリジェント基盤と位置付け、チューリング AIチップを算力の根幹に据えて、スマートカー、ヒューマノイドロボット、空飛ぶ車という三つの端末形態の同時開発と商用化を加速させる姿勢を示した。いずれも自動車事業を基盤にした上での拡張であり、同社の将来像は「車が走り、ロボが働き、空が飛ぶ」エコシステムの実現に向かっている。

しかし、テスラと同様に、これら先進的事業は依然として自動車製造を支点にしている。次回のX9発表で、どのような新機能が加わるかが注目される。

出典: https://www.ifanr.com/1643452

2025/10/19

長安汽車、2030年に航路飛行車を商業化へ―ロボット・電動車も同時に拡大

長安汽車が示す次世代モビリティ戦略の全貌

中国の大手自動車メーカーである長安汽車(Changan Automobile)は、2024年10月19日に開催した投資家向け説明会で、ロボット事業・飛行車・自動運転・テクノロジー戦略の転換に関する詳細を発表した。特に注目すべきは、2030年までに航路飛行車(エアモビリティ)を商業化し、実際に運航を開始するという具体的なロードマップである。

航路飛行車の商業化目標と投資規模

長安汽車は、今後5年間で200億元(約3,200億円)以上を飛行車産業の開発に投入すると明言した。さらに、10年間で1,000億元(約1.6兆円)規模の資金を、陸・海・空の統合移動ソリューションや人形ロボットの研究開発に振り向ける計画だ。これにより、同社は単なる自動車メーカーの枠を超えて、空中モビリティとロボティクスを結びつけた新たなエコシステムの構築を目指す。

航路飛行車の実装イメージと市場背景

航路飛行車は、都市間や都市内の決まったルートを自律的に飛行し、乗客や貨物を輸送することを想定した空中タクシーである。中国では、政府が2020年代に空中モビリティの実証実験や規制整備を進めており、都市部の渋滞緩和や遠隔地へのアクセス向上が期待されている。長安汽車は、2023年に「飛行車第一株」と称されるEHang(億航智能)と提携し、技術協力や共同開発を進めていることが、昨年12月の公式発表で明らかになっている。

ロボット事業の進展:人形ロボットの開発

飛行車と並行して、長安汽車は人形ロボットの研究開発にも注力している。主要パートナーと共同で、ロボットの「脳」(制御アルゴリズム)・「エネルギー」(バッテリー)・「駆動」(モーター)といったコア技術の突破を目指すと発表した。具体的な製品化時期は示されていないが、同社はロボットが将来的に物流やサービス業での自律搬送を担うことを想定している。

電動車ラインナップの最新情報

長安汽車は、飛行車以外にも多数の電動車モデルを同時に投入している。主な新製品は以下の通りだ。

  • 長安啓源(Changan Qiyuan)A06:超大空間を実現し、同クラス唯一の全アルミダブルウィッシュボーン+五連桁サスペンションを採用。800Vシリコンカーバイド(SiC)プラットフォームと6Cフラッシュ充電に対応し、天枢(Tianshu)レーザー支援運転システムを搭載。9月28日にグローバル先行予約が開始され、近く正式販売が見込まれる。
  • 長安啓源 Q05:新プラットフォーム上に構築され、寧徳時代(CATL)製バッテリーを搭載。3C高速充電に対応し、純電走行距離は506km。クラス初のレーザーライダーと4nm天玑(Tianji)車載用チップセットを装備し、現在盲目予約受付中。
  • 深藍(DeepBlue)L06:世界初の3nm車規格チップを搭載し、中国車としては初の磁流変(MR)サスペンション量産車となる。全車種にレーザーライダーを標準装備し、エンドツーエンドの一段階運転支援アルゴリズムを採用。
  • 阿維塔(Avita)12 四レーザー版:10月18日に予約販売が開始され、純電と増程ハイブリッドの二つの動力形態を提供。10月28日に正式販売予定で、幅広い利用シーンに対応する。

自動運転技術の進化と市場シェア

長安汽車は、2025年上半期の決算で純利益が22.91億元(約3,600億円)と前年同期比19.09%減少したと報告しているが、同社はL2レベルの先進運転支援システム(ADAS)を2025年までに標準装備化し、L3以上の機能は全車種の10%以上に搭載する方針を示した。これにより、国内外の自動運転市場での競争力を高める狙いだ。

中国市場における制度的背景と競争環境

中国政府は、2030年までに空中モビリティの商業化を支援する政策を段階的に整備している。航空法の改正や都市部の空域管理の緩和、充電インフラの標準化などが進められ、民間企業の参入が活発化している。一方で、同分野ではEHangやGeely(ジーリー)など複数の企業が技術開発を競っており、長安汽車は自動車製造の経験と資金力を活かして差別化を図ろうとしている。

今後の展望と課題

長安汽車が掲げる2030年の航路飛行車商業化は、技術的・規制的ハードルが高いものの、同社の巨額投資とパートナーシップ戦略から見て実現可能性は高いと評価できる。ロボット事業や電動車ラインナップの拡充と合わせて、総合的なモビリティプラットフォームを構築することで、国内外の顧客基盤を拡大し、次世代交通インフラのリーダーシップを狙う姿勢がうかがえる。

しかし、投資額が大規模である分、財務リスクや市場の受容性、技術成熟度の評価が重要になる。特に航空法の改正や空域管理の整備が遅れた場合、航路飛行車の実証運用が遅延する可能性がある。長安汽車は、これらのリスクを分散させるために、陸・海・空の統合ソリューションを同時に推進し、複数の収益源を確保する戦略を取っている。

総じて、長安汽車は「車」から「空」へ、そして「ロボット」へと事業領域を拡大することで、次世代モビリティ市場における競争優位を築こうとしている。今後の技術実証と規制動向が注目される。

出典: https://www.ithome.com/0/890/619.htm