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2025/10/31

Apple売上新高、米国・中国市場の動向と中国テック企業の最新展開

Apple、2025会計年度第4四半期の決算が過去最高を更新

Appleは2025会計年度第4四半期(2024年9月27日まで)の決算を発表し、売上高が1,024.7億米ドルと市場予想の1,022.4億米ドルを上回ったと報じられた。1株当たり利益は1.85米ドルで、アナリスト予想の1.77米ドルを上回った。全体の売上は前年同期比で10%から12%増と見込まれ、年間売上は4,160億米ドルで前年の6%増となった。

事業別に見ると、iPhone部門の売上は490.3億米ドルで、予想の501.9億米ドルをやや下回ったものの、iPhone 17シリーズの需要が「予想を超える」とCEOのティム・クックが強調した。Macは87.3億米ドルで予想を上回り、iPadは69.5億米ドルでほぼ横ばい、サービス部門は287.5億米ドルと大幅に伸び、全体の利益率向上に寄与した。

中国本土(大中华圏)では売上が4%減少し145億米ドルとなったが、iPhone 17の販売が回復すれば次四半期以降に再び伸びる見込みだ。純利益は274.6億米ドルで、前年同期の142.9億米ドルから大幅に増加した。

小米(Xiaomi)の空調「巨省電」名称に関する説明

中国の家電大手小米の大家電部門総責任者・単聯瑜氏は、同社の空調製品に付けられた「巨省電」という名称について、性能指標ではなく製品名であると説明した。国内標準のエネルギー性能指標(EPF)は5.0であるが、小米は5.27、さらに超省エネレベルの5.6を実現しているとし、AI制御により従来のPID制御と比較して約30%のエネルギー削減が可能だと主張した。

同氏は「名称は製品のブランドであり、実際の省エネ性能を裏付けるものでもある」と述べ、競合他社からの批判は「業界全体で省エネを訴求する動きの一部に過ぎない」と語った。

零跑(Leapmotor)副総裁が華為(Huawei)との関係を否定

零跑科技の高級副総裁・曹力氏は、過去に「華為と道が違うので協業しない」と報じられた発言を否定し、メディアの誤解であると指摘した。曹氏は「零跑はコア技術を自社で開発する方針だが、優れた企業との協業は歓迎する」と述べ、特に華為は中国の技術自立のシンボルとして尊敬していると強調した。

零跑は2024年1月から9月までに累計で39.6万台を販売し、同期間の新勢力自動車メーカーの中でトップに立った。9月単月の納車台数は66,657台で、過去最高を記録した。

サムスン電子、AIチップ需要で第3四半期利益が160%増

サムスン電子は2024年第3四半期(2024年7月~9月)の営業利益が12.2兆韓国ウォンと、前四半期比で160%増加したと発表した。売上高は86.1兆ウォンで前年同期比8.85%増、半導体部門の売上は33.1兆ウォンに達し、営業利益は7.0兆ウォンで前年同期比81%増となった。

特にAIサーバー向けの高帯域幅メモリ(HBM)需要が急伸し、サムスンはNVIDIAのHBM認証を取得したことで、世界のストレージ市場シェアで再び首位に返り咲いた。スマートフォン部門でも折りたたみ型Galaxy Z Fold7の販売が好調で、モバイル・ネットワーク部門の営業利益は3.6兆ウォン、前年同期比約28%増となった。

微信(WeChat)の3つの機能アップデート

微信はビジネスシーンでの利便性向上を目的に、以下の3機能を追加した。

  • 「一括メッセージ撤回」:同時に送信した画像・動画・ファイルをまとめて撤回でき、誤送信時の手間を削減。
  • 「グループ免打扰例外設定」:免打扰モード中でも「@自分」「@全員」や重要メンバー最大4名の通知を受け取れるようにカスタマイズ可能。
  • 「友だち削除時にチャット履歴を保持」:削除時に「履歴を削除」チェックを外すと、ローカルに会話内容を残せるため、業務上の証跡として活用できる。

これらの機能は段階的に配信され、ユーザーはアップデートを待つよう案内されている。

Meta、AI投資を拡大し続ける姿勢を示す

MetaのCEO、マーク・ザッカーバーグは第3四半期決算説明会で、AI分野への投資は「過剰に近いほど良い」と語り、今年は1.43億米ドル規模のScale AI買収を完了し、同社を「Superintelligence Labs」として再編したと発表した。

同社はデータセンターの拡張やOracle・Google・CoreWeaveとのクラウド提携を進め、2025年の資本支出予算を700億〜720億米ドルに引き上げた。これは従来の660億〜720億米ドルの上限を上回る規模で、AIインフラへの需要増加に備える姿勢がうかがえる。

同時期にAlphabet(Google)も資本支出を910億〜930億米ドルに、Microsoftは2026年に向けて支出増速を計画している。

まとめと今後の展望

米国のテック大手は売上・利益ともに堅調に推移し、特にAI関連の需要が牽引している。一方、中国のテック企業は製品名称や市場戦略、他社との協業姿勢を巡って国内外で注目を集めている。小米はAIを活用した省エネ空調で差別化を図り、零跑は自社開発路線を維持しつつ華為への敬意を示すことでブランドイメージを保っている。微信の機能強化は、ビジネス向けコミュニケーションツールとしての地位をさらに固めるだろう。

今後は、米中間の技術競争が激化する中で、各社がどのようにイノベーションと市場シェアの拡大を両立させるかが注目される。

出典: https://www.ifanr.com/1642868

2025/10/29

OnePlus 15「原色沙丘」モデルが示す中国スマホのデザイン進化とブランドの挑戦

OnePlusの歩みと中国スマートフォン市場の位置付け

OnePlus(ワンプラス)は、2014年に中国で設立された比較的新しいメーカーでありながら、創業当初から「高品質・低価格」のスローガンで海外市場に本格参入した。Android端末が多数のメーカーで乱立し、OSの断片化が深刻だった時期に、同社はほぼ純正Androidに近いクリーンなユーザー体験を提供し、欧米のテックメディアから高い評価を受けた。

同時期、国内スマートフォン市場は「ガラス三層」構造が主流となり、デザイン面での差別化が難しくなる中、OnePlusはCMF(カラー・マテリアル・フィーリング)という概念を早期に取り入れ、素材感と手触りにこだわった製品を展開した。これにより、同社は「ハイエンドの中国ブランド」としての地位を確立した。

OPPO傘下への統合とブランドの変容

2021年以降、OnePlusはOPPO(オッポ)傘下の「歩步高」グループに組み込まれ、経営上の独立性が徐々に低下した。創業メンバーの一人が退社し、残された経営陣はグループ全体の事業調整に追われるようになった。その結果、かつての大胆なデザイン実験やハス(Hasselblad)とのカメラ共同開発といった差別化要素は、契約満了とともに終了した。

それでもOnePlusは中国国内で最も成長率の高いブランドの一つであり、販売台数は増加傾向にある。しかし、製品ラインナップは他の大手メーカーと似通った仕様になりつつあり、かつての「鋭さ」が薄れたとの指摘もある。

OnePlus 15「原色沙丘」モデルの特徴

2023年に発表されたOnePlus 15は、名称に「Ultra」を付けないものの、ハイエンド機としての性能は十分に備えている。価格帯は中間的で、極端なコストパフォーマンス追求ではなく、バランスを重視した設定となっている。

本機の注目点は「原色沙丘」エディションに採用された素材技術だ。フレーム部分には航空宇宙分野で培われた「微弧酸化(micro‑arc oxidation、別名プラズマ電解酸化)」が用いられ、金属表面に微細な酸化陶膜が形成される。この工程は高電圧のパルスを金属フレームに流し、酸素や電解液中のイオンと瞬時に反応させて硬度と耐食性を高めるもので、従来の陽極酸化や塗装とは異なる自然な微細テクスチャが得られる。

完成したフレームは光を受けると不規則な星屑のような反射を示し、手に取ると陶器に近い滑らかさと重厚感が感じられる。耐摩耗性が高く、長期間使用しても外観が劣化しにくい点も評価されている。

デザインと工学の融合が示す意味合い

この微弧酸化技術は、従来は航空機部品や医療機器、車両の重要部品に限定されていたが、OnePlus 15で初めてスマートフォンに応用された。素材科学と工業デザインが交差することで、単なる「実用品」以上の「芸術品」的価値を提供しようとする試みは、同社が十年にわたって追い続けてきた「不妥協」の精神を象徴している。

実際、OnePlusのデザインチームは「原色沙丘」の名称に、フランク・ハーバートのSF小説『砂丘』に登場する原始的かつ未来的な世界観を投影したと語っている。荒野の砂と金属の冷徹さが融合したイメージは、現代のスマートフォンが抱える「完璧だが味気ない」デザイン潮流に対する一種の反逆でもある。

市場の潮流とOnePlusの今後

現在のスマートフォン市場は、画面サイズやプロセッサ性能、カメラ画素数といった数値指標がほぼ均一化している。その中で、ユーザーが実感できる差は「触感」や「視覚的質感」といった感覚的要素にシフトしつつある。OnePlus 15は、こうした感覚価値を高めることで、ハイエンド機の中でも差別化を図ろうとしている。

しかし、ブランドが大企業の傘下に入ったことで、将来的にどこまで独自路線を維持できるかは不透明だ。市場は依然として価格競争が激しく、技術革新のスピードも速い。OnePlusが再び「不将就(妥協しない)」という姿勢を全面に出すには、経営資源とデザイン哲学の両立が求められる。

結局のところ、OnePlus 15「原色沙丘」は、数値スペックだけでは測れない「触覚的な喜び」を提供することで、限られたユーザー層に強い印象を残すことに成功したと言える。十年の歴史の中で、同社がどのように変化し、どこに向かうのかは、今後の製品発表と市場の反応に注目したい。

出典: https://www.ifanr.com/1642463