2025/10/15

IDCが発表、2025年Q3の世界スマートフォン出荷は3.227億台で2.6%増 サムスン・アップル・小米が上位3社

IDCが示す2025年第三四半期の世界スマートフォン出荷状況

国際データ会社(IDC)は、2025年第三四半期(2025年7月~9月)のスマートフォン出荷量が3.227億台に達し、前年同期比で2.6%増加したと発表した。これは、コロナ禍以降の低迷から徐々に回復しつつある市場の動向を示す重要な指標となっている。

主要メーカーのシェアと出荷台数

出荷台数でトップ3に入ったのは、サムスン、アップル、そして小米(Xiaomi)である。サムスンは6,140万台を出荷し、市場シェアは19%で前年同期比6.3%増。アップルは5,860万台、シェアは18.2%、前年比2.9%増と続いた。小米は4,350万台、シェア13.5%、前年比1.8%増で3位に位置付けられた。

続いて、アフリカ市場で強い存在感を示す伝音(Transsion)は2,920万台、シェア9.0%、前年比13.6%増で4位にランクイン。vivoは2,880万台、シェア8.9%、前年比6.9%増で5位となった。

中国市場の現状と課題

IDCの分析によると、同期間の中国国内スマートフォン出荷量は6,840万台で、前年同期比0.6%減少し、下降トレンドが続いている。中国は従来、世界最大のスマートフォン市場の一つであるが、今年は販売の淡季にあたることや、新機種の投入が相対的に少なかったこと、そして政府の「国補」政策が縮小されたことが消費者の購買意欲を抑制したと指摘されている。

しかし、9月中旬以降に各メーカーがフラッグシップモデルを集中してリリースすることで、翌四半期初頭には出荷量が持ち直す可能性があると見込まれている。加えて、年末の「ダブルイレブン」セールが開催されても、根本的な需要喚起には限界があると予測され、メーカー間の競争は価格競争だけでなく、差別化された機能やデザインへのシフトが求められる。

高価格帯とAI搭載端末が市場を牽引

今回の成長は、特に高価格帯スマートフォンの需要が回復したことが大きく影響している。AI機能を強化した端末や、デザイン性に優れたモデルが消費者のアップグレード意欲を刺激し、全体の出荷増に寄与したと分析されている。サムスンやアップルは、カメラ性能やAI処理能力を前面に押し出した新機種を投入し、プレミアム市場でのシェア拡大を狙っている。

今後の見通しとメーカー戦略

IDCは、2026年に向けて中国市場の出荷量が再び増加に転じ、2021年以降で初めて前年比プラスになる可能性があると予測している。これは、政府の補助金政策が再度緩和される見通しや、5G対応端末の普及が進むことが背景にある。

一方で、サムスン、アップル、小米といった主要メーカーは、価格設定やプロモーションだけでなく、独自のエコシステム構築やサービス付加価値の提供に注力する必要がある。特に中国国内では、vivoやOPPO、荣耀(Honor)といったローカルブランドが競争を激化させており、差別化が市場シェア争奪の鍵となるだろう。

まとめ

2025年第三四半期の世界スマートフォン市場は、3.227億台の出荷と2.6%の成長を記録した。サムスンがトップシェアを維持し、アップルと小米がそれに続く形となった。中国市場は一時的な下降が続くものの、フラッグシップ機種の投入や政策変動により、次四半期以降の回復が期待される。メーカーは価格競争だけでなく、AI機能やデザイン、サービス面での差別化を図り、消費者の多様なニーズに応えることが求められる。

出典: https://www.ithome.com/0/889/490.htm