2025/11/04

テスラ、欧州10月販売が大幅減少 スウェーデンで89%下落、競合の中国EVが台頭

欧州各国での販売減少状況

路透社の報道によると、テスラは2024年10月に欧州主要市場で販売が急落した。スウェーデンでは新車登録台数が前月比で89%減少し、デンマークでも86%の減少が確認された。北欧の主要国であるノルウェーは50%減、オランダは48%減と、いずれも前年同月と比べて大きく落ち込んでいる。

南欧のスペインでもテスラの販売は31%減少し、10月の販売台数は393台にとどまった。一方で、同期間にスペイン国内で販売された純電動車およびプラグインハイブリッド車全体は119%増と、テスラ以外の電動車需要は拡大している。

スウェーデン市場ではテスラの10月販売台数は133台で、同国の高級車メーカーであるポルシェが172台を販売し、テスラを上回った。さらに、同国におけるテスラの前年同月比販売は67%減少している。

中国電動車メーカーの台頭と競争環境

欧州でのテスラのシェア低下は、中国の新興電動車メーカーの勢いと密接に関連している。デンマークでは、BYD(比亜迪)や小鵬(Xpeng)、極氪(Zeekr)といった中国ブランドがテスラを上回る販売実績を示している。スペインにおいても、テスラは上位に食い込めず、上汽MGが3,725台、BYDが2,806台、奇瑞(Chery)のOmodaが1,433台、Jaecooが974台と、いずれもテスラの販売台数(393台)を大きく上回っている。

Electrifying.comのCEOであるジニー・バクリー氏は「消費者の選択肢が増え、伝統的自動車メーカーや野心的な中国新興ブランドが次々に電動車を投入しているため、テスラはもはや唯一の選択肢ではなくなった」と指摘している。中国政府の補助金政策や大規模な生産拡大が背景にあり、欧州市場でも中国メーカーは積極的に販売ネットワークを構築している。

マスク氏への評価と今後の見通し

テスラの欧州販売低迷には、CEOイーロン・マスク氏への一部消費者の反感も影響しているとの指摘がある。New AutoMotiveの研究マネージャー、シアラ・クック氏は「欧州全体でテスラの販売は前年同期比で約39%減少しているが、同期間にフィアット、ボルボ、スズキ、マツダといった主流ブランドは15%~18%の減少にとどまっている。マスク氏のイメージが販売差に影響を与えている可能性は否定できない」と分析している。

2024年9月時点で、テスラの欧州全体販売は前年同期比で28.5%減少している。欧州連合(EU)内の主要自動車メーカーは、モデルラインナップの刷新や新たな電動車プラットフォーム投入により、需要の変化に対応しようとしているが、テスラは競合の勢いに押され、シェア回復が急務となっている。

まとめ

テスラは2024年10月に欧州主要国で販売が大幅に落ち込み、特にスウェーデンでの89%減少は顕著である。中国のBYDや小鵬、極氪といった新興メーカーが市場シェアを拡大し、消費者の選択肢が多様化したことが背景にある。加えて、イーロン・マスク氏への評価が販売に影響を与えている可能性も指摘されている。欧州市場での競争は激化の一途をたどっており、テスラがシェア回復を図るには、製品ラインナップの強化やブランドイメージの再構築が求められるだろう。

出典: https://www.ithome.com/0/894/624.htm