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2025/10/31

問界 M7新型、価格上昇も販売好調 中国市場で2万台36日で納車

販売実績と価格動向

中国の自動車メーカー・問界(ホンジエ)が2024年10月29日に発表した最新モデル、全新問界 M7は、発売からわずか36日で2万台以上の納車を達成した。これは、同社が産能制限下でも月間生産能力を2万台~3万台に拡大する計画を掲げている中で、極めて高い販売スピードである。

プレセール価格は28.8万元(約4,800,000円)で設定されたが、正式販売時には1万元(約170,000円)値下げされたものの、前世代モデル(24万円)と比べて約2万元(約340,000円)高い価格帯で提供された。にもかかわらず、価格に対する不満の声が多数寄せられた一方で、実際の予約件数は10万台を突破し、消費者の購買意欲は依然として高いことが示された。

新型M7の主な改良点

新型M7は、前モデルに比べて大幅なスペック向上が図られている。まず、ホイールベースが2820mmから3030mmへと21cm伸長し、6座仕様の第3列シートのレッグルームは810mmに達した。これにより、成人が短距離で乗車できる実用的な空間が確保された。

外観デザインも刷新され、フロントグリルは閉鎖型に変更され、M8と同様の下部エアインテークや「船桿」型ヘッドライトが採用された。ボディラインは丸みを帯び、半隠しドアハンドルやルーフレール、レーザーレーダーなどがM8と共通化され、全体的な高級感が向上した。

カラーは新たに珊瑚紅、海島藍、暖雲白の3色が追加され、若年層や個性を重視するユーザーの嗜好に応える形となっている。

インテリア面では、センターコンソールのディスプレイが大型化し、ベゼルが狭くなったほか、リアシート向けに17.3インチのエンターテインメントスクリーンが新設された。サスペンションはマクファーソン式からコストは上がるが構造が複雑なダブルウィッシュボーン式に変更され、走行安定性と乗り心地が向上した。

技術面では、華為(ファーウェイ)提供の「乾崑」ADS 4に加えて、車内レーザー視覚システム「Limera」が初搭載された。さらに、ADS 2.0に対応した全国都市向けNCA(ナビゲーション・コンシステンシー・アシスト)機能や、DATS(Dynamic Torque Control)によるトルク制御が実装され、高速コーナリングや凹凸路面での車体姿勢が安定する。

安全性能も強化され、乗員保護構造には潜水艦級熱成形鋼(抗張強度2000MPa)が使用され、アルミ合金製の前後衝突ビームと十宮格側強化ビームが組み合わさっている。

市場での位置付けと競合

問界は、従来の電動車市場とは異なる「電動車を受け入れない」層をターゲットにしている。中国の30万元(約5,100,000円)クラスの新エネルギー車の市場浸透率は、2023年の18%から2025年には47%へと急速に上昇しているが、同価格帯のSUVは依然として半数以上が内燃機関車である。

調査会社ジェランルーのデータによれば、問界新車の初期オーナーのうち、家庭の乗換え・増購入が60%~70%を占め、置き換えられた車種はほぼすべてがガソリン車である。ブランド力が重要視されるこの価格帯で、問界は華為のブランドバックアップとハーモニーOS(鸿蒙)搭載のスマート座舱により、差別化に成功している。

競合としては、理想(Li Auto)のL7・L8・L9や、テスラ、米小米(Xiaomi)などが挙げられるが、理想はかつて問界 M7の登場により販売が一時的に低迷したと語っている。一方、問界はM8(約40万元)やM9(約50万元)と価格帯を分け、相互に顧客を引き込む「梯子」戦略を展開し、各モデルが独自の価値提案で市場シェアを拡大している。

今後の見通し

新型M7は、価格が上昇したにも関わらず、販売台数が伸び続けている点で「価格上昇と販売好調」の好例となっている。今後は、月間生産能力が2万台~3万台に達した後、供給体制が安定すれば、さらなる市場浸透が期待できる。

また、華為が5億元(約80億円)規模の投資を行い、ハーモニーOS 2.0へのアップデートやADS 2.0の全国展開を進めることで、技術的優位性を維持しつつ、価格感度の低い顧客層を引き続き取り込む戦略が見込まれる。

中国の自動車市場は、内燃機関車から電動車へのシフトが加速する中で、問界は「価格だけでなく、継続的な製品進化とブランド価値」で差別化を図り、今後も注目される存在となるだろう。

出典: https://www.ifanr.com/1642829