展覧会の概要と来場者数
2025年10月17日、深圳会展中心(福田)で開催された「2025湾芯展」――正式名称は2025湾区半導体産業エコシステム博覧会――は、3日間の開催期間を経て無事に閉幕した。主催者によると、開催期間中の総来場者数は11.23万人次に上り、国内外からの関心の高さを示した。
本展は、半導体・集積回路分野に特化した産業エコシステムの構築を目的としており、出展企業は年間新製品を約2,500件発表したとされる。これにより、最新の製造装置、測定機器、設計ツールなどが一堂に会し、業界関係者の情報交換の場として機能した。
国内外600社以上が出展、TOP30企業が集結
本年度の湾芯展には、20か国以上・地域から600社超の企業が出展した。出展企業の中には、米国のアプリケーション・マテリアルズ(Applied Materials)やKLA、台湾のパナソニック・インテグレーテッド・サーキット(Panasonic Integrated Circuit)系企業、そして日本の東京エレクトロン(TEL)やディスコ(DISCO)、ニコンといった半導体製造装置大手が名を連ねた。
欧州からはドイツのメルク(Merck)やツァイス(Zeiss)、英国のエドワード(Edwards)などが参加し、韓国の3M、ハンガリーのセミレーバー(Semirebel)といった企業も出展した。国内では、北方華創(北方华创)、新凯来(新凯来)、拓荆科技、上海微電子、華潤微電子、華天科技といった半導体製造装置・材料のリーディングカンパニーが多数出展し、国際的なTOP30企業と肩を並べた。
新凯来子会社「万里眼」の90GHz超高速リアルタイム示波器が世界初披露
本展のハイライトの一つは、新凯来の子会社である「万里眼(Wanliyan)」が発表した90GHz超高速リアルタイム示波器である。CEOの刘桑氏は、米国が60GHzを超えるリアルタイム示波器の中国への輸出を禁じていることを背景に、国内技術の自立を目指したと語った。
同社の発表によれば、従来中国国内で実現できていた帯域は十数GHz程度であったが、今回の製品は90GHzという帯域幅を実現し、世界で2番目の性能を誇る。さらに、全画面ディスプレイを搭載した「超高速スマート示波器」として、従来の製品に比べて操作性とデータ処理速度が大幅に向上した。
西側諸国の最先端製品は110GHzに達しているとされるが、90GHzという数値は中国にとっては大きな飛躍であり、米国の輸出規制に対する技術的な突破口と評価されている。
2026年湾芯展への期待と予約状況
2026年に開催が予定されている次回湾芯展に向けて、出展企業の予約はすでにピークに達している。現時点で600社超が出展枠を確保し、主要展示ホールの95%が事前に販売済みとなっている。アプリケーション・マテリアルズ、KLA、TELといった国際的な大手は、前年と同様に出展を継続することを表明した。
国内の主要メーカーである北方華創、拓荆科技、盛美半導体(盛美半导体)なども、2026年版の展示スペースを確保し、次回以降も中国半導体産業のプラットフォームとして湾芯展が重要な役割を果たすことが期待されている。
まとめ
2025湾芯展は、来場者数11.23万人次、約2,500件の新製品発表という規模で、半導体産業の最新動向を一堂に示した。特に新凯来子会社「万里眼」の90GHz超高速リアルタイム示波器は、米国の輸出規制に対抗する形で国内技術の底上げを示す象徴的な製品となった。
また、20か国以上・地域から600社超が参加し、国際的なTOP30企業と中国国内のリーディングカンパニーが共存する姿は、中国が半導体サプライチェーンの自立と高度化を目指す上で重要なマイルストーンであると言えるだろう。次回の2026湾芯展に向けた予約がほぼ埋まっていることからも、同イベントが今後もアジア太平洋地域の半導体エコシステムを牽引していくことが予想される。