2025/10/20

極氪(Zeekr)7X、900V高圧プラットフォーム搭載の新型SUVが10月28日中国で発売

発売概要と予約特典

中国の電動車情報サイトIT之家は10月20日、極氪(Zeekr)7Xの予約販売が本日開始されたと報じた。予約期間中は、2,000元(約3万円相当)の割引が適用され、実質7,000元(約10万円相当)の購入特典が受けられるという限定キャンペーンが実施される。展示車は同日から順次販売店に到着し、10月28日に正式に中国本土で販売が開始される。

ラインナップと性能

極氪7Xは3つのグレードで提供され、全車種に共通して370kW(約500馬力)の電動モーターが搭載されているが、駆動方式とバッテリー容量に応じて性能が大きく変化する。

後輪駆動(75度・103度)モデル

後輪駆動の「75度」バージョンは、最大出力370kW、0-100km/h加速を5.4秒、CLTC(中国統一走行距離測定法)での航続距離は620kmと設定されている。バッテリー容量は75度(約75kWh)で、都市部での通勤や週末のレジャーに十分な走行が可能だ。

同じく後輪駆動の「103度」バージョンは、バッテリー容量を103kWhに拡大し、航続距離は最大802kmに伸びる。加速性能は5.1秒と若干向上し、長距離走行を重視するユーザー向けに設計されている。

四輪駆動 Ultra 版

最上位の「103度四輪駆動 Ultra」版は、前後に配置された2基の電動モーターが合計585kW(約795馬力)を発揮し、0-100km/h加速はわずか2.98秒と、同クラスのSUVの中でもトップクラスの加速性能を誇る。航続距離は715kmで、パワフルな走りと実用的な走行距離を両立させている。また、最高速度は255km/hに設定されている。

先進装備と快適性

極氪7Xは、同クラスで唯一と称される「感応式無枠自動ドア」を標準装備し、乗降時の利便性を高めている。後部座席には左右独立の電動サンシェードとプライバシーガラスが採用され、プライバシーと日射遮蔽が同時に実現できる。

さらに、熱石理療システム、355mm幅の後席連体電動レッグレスト、-6℃から50℃まで調整可能な冷暖冰箱(ミニ冷蔵庫)、後席電動テーブルと電動スマートスクリーンが装備され、長時間の移動でも快適に過ごせるよう配慮されている。足元空間は1,187mm、トランク容量は905Lと、ファミリーやビジネスユースに十分な余裕がある。

車内には計40か所の収納スペースが設けられ、二列目のドア開口角は約90度に達するため、乗降がスムーズに行える。

充電インフラと走行距離

本モデルは全車種に「全スタック 900V 高圧アーキテクチャ」を採用し、急速充電性能が大幅に向上した。10%のバッテリー残量から80%までをわずか10分で充電できるとされ、長距離走行時の充電待ち時間を大幅に短縮できる。

CLTC測定に基づく最長航続距離は、103度後輪駆動モデルで802km、四輪駆動 Ultra 版で715kmとなっており、国内の主要都市間走行や高速道路での長距離走行に十分対応できる。

自動運転支援システム

極氪7Xは、標準装備として「千里浩瀚(Qiankun)」と呼ばれる高度運転支援システム H7を搭載している。31個のセンサーと、NVIDIA(エヌビディア)社製のDrive Thor-U AIチップが組み合わさり、車線保持支援、車位から車位へのナビゲーション支援、都市部での自律走行支援など、多彩な機能を提供する。

このシステムは、中国政府が推進する「新エネルギー車(NEV)自動運転」政策と整合性が高く、将来的なレベル3以上の自動運転機能へのアップデートも視野に入れている。

中国市場での位置付けと今後の展開

極氪は、浙江省に本拠を置く自動車大手ジーリー(Geely)の高級EVブランドであり、近年は中国国内だけでなく、香港や欧州市場への進出を加速させている。7Xは、同社が2023年に発表した「2024-2025年上半期モデル刷新計画」の一環として、900VプラットフォームとThor-Uチップを全車種に導入した初のモデルである。

中国政府は、2025年までに新エネルギー車の販売比率を40%以上に引き上げる目標を掲げており、充電インフラの整備や自動運転技術の標準化を支援している。極氪7Xは、こうした政策環境の中で、ハイパフォーマンスと高い快適性を兼ね備えたプレミアムSUVとして、同価格帯の国内外メーカーと競合する見通しだ。

また、同社は2024年第四四半期に香港で右ハンドル仕様を開始し、価格は26.99万香港ドル(約480万円)から提供している。欧州ではオランダ、ノルウェー、スウェーデンで先行納車が開始され、グローバル展開の足掛かりとなっている。

今後、極氪はさらなるソフトウェアアップデートや、充電ネットワークとの連携強化を通じて、ユーザー体験の向上を図るとともに、中国国内のEV市場におけるシェア拡大を目指す。

出典: https://www.ithome.com/0/890/729.htm