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2025/10/17

CCTV『鸿蒙星光盛典』11月28日深圳開催、全国产自律OS「鸿蒙」最新情報


 

中国中央テレビ(CCTV)は、同社が制作する大型ライブイベント『鸿蒙星光盛典』を、2024年11月28日(木)に深圳市龍崗区の大運体育センターで開催すると発表した。放送はCCTV-2(央视财经)、央视新闻、央视频、央视财经の各チャンネルで同時ライブ配信される。

鸿蒙OSの位置付けと意義

主催側は「鸿蒙系统は、全国产自主可控の初のオペレーティングシステムであり、中国の技術自立イノベーションを象徴する」と語り、テクノロジー専門家や業界リーダー、芸術家らが一堂に会し「在一起,就可以」のテーマのもと、技術と文化の融合を示す夜を演出するとした。具体的なプログラム内容は未公表だが、同イベントは国内外の注目を集めている。

鸿蒙エコシステムの現状

昨年10月にHuaweiは、鸿蒙エコシステムに接続されたデバイスが10億台を超え、国内OS市場シェアで第2位に上昇したと発表した。エコシステムはOpenHarmonyというオープンソースプロジェクトを基盤としており、5年間でコード行数は1.3億行を超え、貢献者は9,200人以上に達した。これまでに1,300以上のハードウェア・ソフトウェア製品と、金融・交通・教育・エネルギー・航空・消費電子など70以上の業界向けディストリビューションがリリースされている。

Huawei端末における鸿蒙5の展開

今年に入ってから、Huaweiは全ての主要端末に鸿蒙5を搭載し、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット、スマートウォッチ、スマートディスプレイといった多様なカテゴリを網羅している。代表的な製品として、リアルタイムの人物感知インタラクションを実装した『Pura X』、AI機能を統合した『MateBook Fold 非凡大师』、PCレベルのアプリケーションと操作体験を提供する『Mate XTs』、音声指向リモコンやAI検索機能を備える『MateTV』が挙げられる。

Pura Xの新機能

『Pura X』は「小艺(XiaoYi)」というリアルヒューマンインタラクションエンジンを初めて採用し、ユーザーのジェスチャーや表情に応じた自然な対話が可能となっている。

MateBook FoldのAI統合

『MateBook Fold 非凡大师』は鸿蒙AIを搭載し、デバイス間のシームレスなアプリ連携を実現。ユーザーはスマートフォンで開始した作業を折りたたみノートで続行できる。

Mate XTsのPC体験

『Mate XTs』は従来のスマートフォンを超えるPC級アプリケーションとマルチウィンドウ操作を提供し、ビジネスシーンでも本格的な生産性を発揮できる。

MateTVのインタラクティブ機能

『MateTV』はHuawei独自の音声指向リモコン「灵犀(Lingxi)」とAI検索機能を組み合わせ、テレビ操作を音声だけで完結させる体験を提供する。

今後の注目ポイント

『鸿蒙星光盛典』は、単なる製品発表の場に留まらず、国家レベルで推進される「自主可控」戦略の実装例として位置付けられる。イベントの模様は国内外のメディアで広く報道され、特にオープンソースコミュニティの成長や産業横断的なエコシステムの拡大が注目されている。今後、鸿蒙OSがどの程度国際市場で競争力を持つか、また中国国内のデジタルインフラにどのように組み込まれるかが注視されるだろう。

本稿では、イベントの基本情報と現在進行中の鸿蒙エコシステムの実績、Huawei端末における最新機能を中心にまとめた。詳細はライブ配信や公式発表を通じて随時確認することが推奨される。

出典: https://www.ithome.com/0/890/124.htm

2025/10/09

蚂蚁集团、万億パラメータ規模の言語モデル Ling-1T を発表・オープンソース化、複数ベンチマークで首位

モデル概要とリリース背景

2024年10月9日、アリババグループの金融テクノロジー子会社である蚂蚁集团は、同社が開発する大規模言語モデル(LLM)シリーズ「Ling 2.0」の第一号となるフラッグシップモデル「Ling-1T(Ling One Trillion)」を正式に公開した。Ling-1T は、パラメータ数が1兆(1 × 10¹²)を超える、同社史上最大規模かつ最高性能を誇る「非思考」モデルとして位置付けられている。

同時に、モデル本体と関連コードを Hugging FaceModelScopeGitHub へオープンソースとして提供し、国内外の開発者が自由にダウンロード・試用できる環境を整備した。国内向けの対話デモは ling.tbox.cn、海外開発者向けの API・チャット体験は zenmux.ai で公開されている。

ベンチマーク結果と競合比較

リリース直後に実施された独立評価では、Ling-1T は「有限出力トークン」条件下で複数の高度な推論ベンチマークにおいて SOTA(State‑of‑the‑Art)を記録した。特に注目されたのは米国数学コンテスト「AIME 25(American Invitational Mathematics Examination 25)」における成績である。

具体的には、Ling-1T は平均 4,000 トークンを消費しながら正答率 70.42% を達成した。一方、Google DeepMind が提供する Gemini‑2.5‑Pro は平均 5,000 トークンで正答率 70.10% にとどまっており、トークン消費が約 20% 少ないにも関わらず、精度で僅かに上回っている。コード生成、ソフトウェア開発、競技数学、専門数学、論理推論といった多岐にわたるタスクでも、Ling-1T は開源モデルの中でトップクラスの評価を受けている。

技術的特徴と課題

Ling-1T は Ling 2.0 系列と同様に、GQA(Grouped Query Attention)をベースとした attention アーキテクチャを採用し、20 テラトークン(20 × 10¹²)以上の高品質・高推論濃度データで事前学習が行われた。コンテキストウィンドウは最大 128 K トークンをサポートし、長文の理解・生成に強みを持つ。

さらに、開発チームは「中訓練 + 後訓練」の進化的思考チェーン(Evo‑CoT)手法を導入し、モデルの思考効率と推論精度を同時に向上させた。実験では、ツール呼び出しタスク「BFCL V3」に対し、事前に大量の操作軌跡を与えず、少量の指示微調整だけで約 70% の呼び出し正確率を実現した。

しかし、同チームは以下の課題も認めている。まず、GQA に依存した attention 構造は推論コストが高く、計算資源の消費が大きい点で改善の余地がある。将来的には混合注意力(Hybrid Attention)を導入し、訓練・推論効率の最適化を図る方針だ。

次に、汎用エージェントとしての多輪対話、長期記憶、複雑ツール使用に関する能力が限定的である。現在、ツール理解と使用能力の強化、モデルの主体性と汎化性能の向上に向けた研究が進められている。

最後に、指示遵守やロール認識において一部シナリオで誤動作や役割混乱が見られる。これらは「強化型アイデンティティ整合」や安全性微調整により、モデルの一貫性と安全性を高める計画がある。

オープンソース化と利用方法

Ling-1T のオープンソースリポジトリは以下のプラットフォームで提供されている。

国内ユーザー向けの対話デモは https://ling.tbox.cn/chat、海外開発者向けの API とチャット体験は https://zenmux.ai/inclusionai/ling-1t からアクセスできる。

中国AI市場における位置付けと今後の展望

蚂蚁集团は2024年度の研究開発投資額を 234.5 億元(約 3,600 億円)に拡大し、過去最高を記録したと同社は発表している。また、同社の決済プラットフォーム「支付宝」上では、1.3 億人が AI 機能を利用していると報告されており、国内AIエコシステムの拡大に大きく寄与している。

Ling-1T のリリースは、米国や欧州の大手テック企業が主導する「トリリオンパラメータ」競争に対抗する中国側の重要な一手である。オープンソース化により、学術・産業コミュニティが自由にモデルを検証・改良できる環境が整い、国内外のイノベーションが加速することが期待される。

開発チームは、次期バージョンで attention のハイブリッド化、エージェント機能の強化、指示遵守の高度化を実装し、Ling シリーズを「汎用人工知能(AGI)に近い」レベルへと引き上げる計画を明らかにしている。今後数年間で、AI アシスタント、コード自動生成、マルチモーダル検索といった実用領域への応用が加速し、産業構造の変革を牽引する可能性が高い。

本モデルの登場は、単なる技術的マイルストーンに留まらず、AI 研究のオープンエコシステム構築と、国際的な競争力向上を目指す中国テック企業の戦略的姿勢を示すシグナルとも言える。

出典: https://www.ithome.com/0/888/112.htm