2025/10/15

華為乾崑 ADS4 と鸿蒙座舱 5.1 搭載、岚图追光 L が12月国内販売開始へ

中国の新興EVメーカー・岚图(ランツー)から、フラッグシップSUV「追光 L(Zhuiguang L)」が発表された。全車種に搭載されるのは、華為(Huawei)開発の自動運転プラットフォーム「乾崑 ADS4(QianKun ADS4)」と、同社の車載OS「鸿蒙座舱 5.1(Hongmeng Cockpit 5.1)」である。これにより、先進的なドライバーアシスト機能と、統合された車内エンターテインメント・情報サービスが実現される。

動力面では、1.5 Lターボエンジンと2つの電動モーターから構成されるプラグインハイブリッド(PHEV)システムを採用。エンジン最大出力は110 kW、前後電動モーターはそれぞれ150 kWと230 kWを発揮し、総合出力は約380 kWに相当する。バッテリーは容量63 kWhの三元リチウムイオン電池で、CLTC(中国乗用車試験サイクル)に基づく純電走行距離は410 kmと公表されている。

充電は800 Vの超高速充電に対応し、5C(約315 kW)での充電が可能。公式データによれば、20 %から80 %への充電に要する時間はわずか12分である。駆動方式は全車種でデュアルモーター四輪駆動(AWD)を採用し、0 → 100 km/h加速は4.8秒とスポーツ性能も備えている。

中国市場における位置付けと政策背景

中国は近年、政府主導で新エネルギー車(NEV)の普及を加速させている。補助金制度や充電インフラの整備、排出規制の強化などが相まって、国内メーカーは高度な電動化技術の開発に注力している。華為は通信・AI分野で培った技術を自動車領域へ展開し、車載OSや自動運転ソリューションで複数の自動車メーカーと提携している。

この流れの中で、岚图は「追光 L」を通じて、ハイエンドSUV市場への本格参入を狙う。特に、華為のADS4が提供するレベル3相当の自動運転支援と、鸿蒙座舱が実現する車内デジタルエコシステムは、同クラスの競合車と差別化を図る重要な要素となっている。

販売スケジュールと購入特典

同社は10月中旬に公式WeChatアカウントで「追光 L」の試乗車が全国の販売店に順次到着し、10月末までに展示車が店頭に並ぶと発表した。さらに、12月に本格的な販売・納車が開始される予定で、先行予約した顧客には「終身無料の基礎メンテナンス」と「三電(バッテリー・モーター・パワーエレクトロニクス)に対する終身保証」が付与される。

車体サイズは全長5,125 mm、全幅1,985 mm、全高1,522 mm/1,505 mm(ルーフレール有無により変動)、ホイールベースは3,010 mmで、広い室内空間を確保している。燃費はWLTCモードで100km走行あたり5.67 Lのガソリン消費と公表され、プラグインハイブリッドとしては競争力のある数値だ。

デザインとカラーバリエーション

外装は「金銮红(ジンルンホン)」「金耀黑(ジンヨウヘイ)」のツートーンカラーに加え、単色で「玄英黒」「杜若白」「宸星灰」「香槟金」など計6色が用意されている。内装は「丹霞红(タンシャホン)」「稲米白(ドウミバイ)」「煙山灰(エンザンハイ)」の3色から選択可能で、素材感や配色にこだわった高級感が演出されている。

これらのカラーバリエーションは、11月からオンラインと実店舗での予約受付が開始され、顧客は自分好みの組み合わせを選べるようになる。

「追光 L」は、先進技術と中国国内の政策支援を背景に、2024年後半の中国EV市場に新たな選択肢を提供することが期待されている。

出典: https://www.ithome.com/0/889/550.htm