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2025/11/02

蔚来(NIO)全新ES8、月間15000台目標 中国EV市場でiPhone 17 Pro Maxに例えられる高級SUV

全新ES8の納車実績と目標

蔚来は10月31日、上海南翔交付センターで全新ES8の納車台数が10,000台に達したことを発表した。0台から10,000台までの達成に要した期間は41日で、40万円以上の純電動車としては過去最速の記録となった。

同社広報担当副社長の馬麟氏は、11月の納車はさらに加速し、10月比で生産能力を70%向上させると述べた。12月には15,000台を超える納車を目指し、さらに上回る実績を追求するとした。

10月の販売台数は約9,000台と推測され、同価格帯(40万円以上)の純電動車の中でトップセールスとなっている。これに加えて、同社のレベルド L90 が安定して1万台を突破していることから、蔚来グループ内で1万台超えのモデルが2種になる見込みだ。

販売戦略と利益への影響

2023年8月に株価が底を打った蔚来は、以降約100%の株価上昇を見せ、資金流入が信頼感を示している。創業者の李斌氏が掲げた「2025年第四四半期に黒字化」という目標は、同社の事業計画の中心に位置付けられている。

同氏は2025年末の黒字化を実現するため、2025年第四四半期に月平均5.6万台、年間15万台の総販売台数を目指すと発表した。高価格帯モデルの販売比率を高めることで、平均販売価格と粗利率の向上を図る方針だ。

全新ES8は平均販売価格が35万円以上とされ、同価格帯で月間1万台を安定的に供給できる車種は極めて少ない。問界M8・M9やメルセデスEクラス、アウディA6Lといった高級車と同列に語られることになる。

製品スペックと技術的特徴

全新ES8は全長5,280mm、ホイールベース3,130mmという全サイズSUVクラスの寸法を持ち、前方トランク容量230L、3列乗車後のリアトランクは547Lと広い荷室を実現している。

NT3.0プラットフォーム上に構築された900V超充電・高速交換システムは、最大600kWの充電出力を可能にし、5分で250km相当の走行距離を回復できる。さらに3分でバッテリ交換が完了する既存の交換ネットワークとも完全互換である。

動力はET9と同様のデュアルモーター四輪駆動を採用し、総出力は520kW。車両重量2.6トンにも関わらず、0-100km/h加速は3.97秒、100-0km/hブレーキ距離は34.9mと高性能を示す。

インテリアは「Design for Success」をコンセプトに、スカイライン天井スクリーンでテクノロジー層と快適層を明確に分割。Nappaレザーシートに山川叠韵の刺繍、木目と金属光沢のトリムが施され、全体にソフトパッケージが施されている。

サウンドシステムはET9と同等の天琴8.1.4.2システムで、27スピーカー・合計出力4,082Wを誇る。安全・自動運転支援はAQUILA天鹰超感システムとして、3つのレーザーレーダーと計31個の高性能センサー、蔚来自社開発の神玑NX9031チップを搭載している。

今後の展開と市場位置付け

蔚来は2026年にNT2.5プラットフォームを継承したET5t、ES6などを継続しつつ、NT3.0ベースの大型SUVとしてES9やレベルドL80を投入予定だったが、L90の需要が集中したためL80の発売時期は延期された。

同社は「高価格・高販売」のモデル戦略を強化し、全新ES8をiPhone 17 Pro Maxに例えて「高価で売れる」製品として位置付けている。もし11月に15,000台の納車が実現すれば、グループ全体の販売構成比は約30%に達し、黒字化に向けた重要なレバーとなる。

中国のEV市場は価格帯が広がる中で、40万円以上の高価格帯モデルは限られた競合しか存在しない。蔚来は技術コストの分散と規模拡大により、価格競争力を保ちつつ利益率を確保しようとしている。

以上の要素が組み合わさり、全新ES8は蔚来にとって「ブランドの旗艦」となるだけでなく、同社が中国市場で「アップル式」の高付加価値戦略を実現する鍵となることが期待されている。

出典: https://www.ifanr.com/1643023